2026-01-02

経審 経営状況 対策|中小建設業者がY点を100点上げるための「8つの財務指標」改善完全ガイド

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「売上は順調に上がっているのに、なぜか経審の点数が伸びない……」
「希望するランクに届かず、狙いたい公共工事に入札できない」と、
夜も眠れぬ思いで決算書を見つめている社長様、役員の皆様。そのお悩み、実は多くの中小建設業者が直面している「共通の罠」に原因があるかもしれません。
経営事項審査(経審)の総合評定値(P点)を構成する要素の中で、会社の「財務の健康診断結果」とも言えるのが経営状況(Y点)です。多くの経営者が「節税」を優先するあまり、良かれと思って行った会計処理が、実はY点をボロボロにし、自らの首を絞めているケースが少なくありません。
本記事では、経審対策コンサルタントの視点から、中小建設業者がY点を改善し、入札を圧倒的に有利にするための本質的な対策を徹底解説します。以前の音声でもお話ししましたが、経審は「通知表」ではなく「経営の羅針盤」です。点数を追うことは、会社を強くすることそのもの。未来の希望をつかみ取るための智慧を、今ここで手に入れてください。
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Y点対策の全体像:8つの指標が「会社の格付け」を左右する

Y点は単なる計算結果ではなく、企業の「支払い能力」と「稼ぐ力」を客観的に証明する最重要項目です。
経審のP点は、完成工事高(X1)や技術力(Z)など5つの項目で決まりますが、その中で「経営状況(Y点)」はウェイト0.2を占めています。このY点は、国土交通大臣の登録を受けた「登録経営状況分析機関」が、御社の財務諸表を8つの財務指標(X1〜X8)に当てはめて算出します。
「Y点対策を後回しにするのは、エンジンの整備をせずにタイヤだけを新しくしているレーシングカーのようなものです。」
Y点を構成する8指標は、大きく分けて「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的利益」の4つのカテゴリーに分類されます。これらの数値を1点でも改善することは、入札で有利になるだけでなく、金融機関からの格付け向上にも直結します。
まずは、御社の最新の「経営状況分析結果通知書」を手元に用意してください。そこにある数字が、改善のスタートラインです。
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負債抵抗力の改善(X1,X2):無駄な借入金を圧縮し、利息負担を減らす

不要な借入金を返済し、支払利息を1円でも減らすことが、Y点アップの最短ルートです。
Y点において最も影響力(寄与度)が大きいのが「純支払利息比率(X1)」です。これは、売上高に対して利息をどれだけ払っているかを見る指標で、低いほど高評価となります。また、「負債回転期間(X2)」は、借入金などの負債が月商の何ヶ月分あるかを示し、これも短いほど点数が上がります。
中小建設業者の場合、「もしもの時のため」と現預金を厚く持ちながら、同時に多額の借入を続けている「両建て」の状態が多く見られます。しかし、経審の点数を重視するならば、手元資金で返済可能な無駄な借入は圧縮すべきです。
「今、御社の通帳にあるその『お付き合い融資』の残高、実は格付けを一段階下げる原因になっていませんか?」
具体的な対策としては、以下の3点に集中的に取り組みましょう。
1. 借入金の早期返済: 余剰資金がある場合は、借入金を返済して負債合計を減らす。
2. 金利交渉: 支払利息そのものを減らすための交渉を行う。
3. 受取利息配当金の計上: X1は「支払利息から受取利息を引いた額」で計算されるため、適切に受取利息を計上する。
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収益性・効率性の改善(X3,X4):1%の「粗利」への執着が点数を変える

現場ごとの原価管理を徹底し、売上総利益(粗利)を最大化させることが不可欠です。
「総資本売上総利益率(X3)」と「売上高経常利益率(X4)」は、会社がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを測ります。特にX3は粗利を総資本(2期平均)で割るため、利益を上げつつ、総資本を過大に膨らませない(不要な資産を持たない)ことが鍵となります。
中小建設業者の現場では、どんぶり勘定による「赤字工事」がY点を引き下げる最大の要因です。現場監督が「いくらで仕入れて、いくら残るか」をリアルタイムで把握できる体制を整えるだけで、点数は劇的に変わります。
「もし、御社が『売上規模』だけを追い求めて粗利を軽視しているなら、それは穴の空いたバケツで公共工事という名の水を汲もうとしているのと同じです。」
粗利を1%改善する努力は、完成工事高(X1)を数億円増やすよりも、Y点の改善には遥かに効果的な場合があるのです。
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【令和7年新制度】資本性借入金を「自己資本」として活用する特例

金融機関からの借入金を「負債」ではなく「自己資本」として算入できる新制度は、中小建設業者の救世主です。
令和7年7月1日以降の申請から、画期的な制度が導入されます。一定の要件を満たす「資本性借入金(劣後ローン等)」について、負債合計額から控除し、自己資本(純資産)に加算して評価できるようになります。
これまで「自己資本比率(X6)」が低くて悩んでいた中小業者にとって、これは劇的な改善チャンスです。 要件は以下の通りです。
• 償還期間が5年超であること
• 期限一括償還であること
• 法的破綻時の劣後性が確保されていること
この特例を適用するには、建設業経理士1級などの専門家による証明書が必要です。
「この制度を知っているか否かで、来期の入札ランクが変わるかもしれません。今すぐメインバンクに『弊社の借入を資本性借入金に切り替えられないか』と相談したくなりませんか?」
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財務健全性と絶対的利益の向上(X5〜X8)

通帳の現金を増やし、利益を積み上げることが、不況にも格付けにも強い会社を作ります。
「自己資本対固定資産比率(X5)」や「自己資本比率(X6)」を高めるには、増資や内部留保の蓄積が必要です。また、「営業キャッシュフロー(X7)」は、本業で実際に稼いだキャッシュの動きを2年平均で見ます。
「利益剰余金(X8)」は、会社が創業以来積み上げてきた利益の総計です。節税のために利益を消し続けてきた会社は、ここが非常に弱くなっています。
対策のヒント:
• 不要な固定資産の売却: 使っていない土地や車両を整理し、X5を改善する。
• 売掛金の早期回収: 現金化を早めることでX7をプラスにする。
• 適正な決算: 減価償却を適切に行い(利益額X2への加算要素)、不必要な経費を削減して利益剰余金を積み上げる。

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財務諸表の適正性と監査の加点(W5)

Y点改善と並行して、W5点(経理の状況)の加点も狙うのがプロの戦略です。
経営状況(Y点)を磨き上げると同時に、その信頼性を担保することで「社会性(W点)」も加算できます。具体的には、公認会計士や税理士による監査や、建設業経理士1級等による**「経理処理の適正を確認した旨の書類」の提出**です。
特に「監査の受審状況(W51)」では、会計監査人の設置で20点、会計参与の設置で10点の加点があります。さらに、自社の経理実務責任者が自主監査を行うことで2点の加点が得られます。
「以前の音声でもお話ししましたが、Y点とW5点は表裏一体です。正しい経理を行うことは、会社の信用を数値化する行為そのものなのです。」

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まとめ
経審の経営状況(Y点)を改善する対策は、一朝一夕に成るものではありません。しかし、8つの財務指標の本質を理解し、不要な負債の圧縮や粗利の改善、そして令和7年からの「資本性借入金」特例を賢く活用することで、確実に点数は向上します。
「今日、社長がハンコを押すその経費の一枚一枚が、1年後のY点、ひいてはP点の1点を左右しています。」
格付けアップは、公共工事への挑戦権であり、社員とその家族の未来を守るための切符です。まずは自社の財務指標を分析し、優先順位をつけた改善計画を立てましょう。

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